土曜日の女の子ときなこクッキー
2020.8.20|フッコのクッキー日記 コラム
もうずいぶんと長いこと、きなこクッキーを買い続けてくれている女の子がいます。
その子は必ず土曜日にやってきます。
お父さんと一緒にやってきます。
実は女の子というには申し訳ないぐらい素敵な女性なんだけど、多分高校生くらいかしら?
私からみたらやっぱりまだかわいい感じがして、あえて女の子と呼ばせてもらっています。
私はその子に一目惚れしました。
何故だかよく分からないけど、たぶん何か、自分と同じような雰囲気を感じたから、かな。
女の子はゆっくりと、商品を眺めます。静かに眺めます。
そして小さいけれど、しっかりとした口調で『きなこクッキーを』と言います。
必ず『きなこクッキーを』と。
私も静かにきなこクッキーをひとつ、つまみ上げます。
私もきなこクッキーが好きなんですよ、とは言いませんが、心の中でそう言いながらつまみ上げます。
女の子が好きです。
たくさんお客さんはいらっしゃるのに、何故だかその子だけとても気になります。
だから、土曜日には必ずきなこクッキーがお店に並びます。
いろいろあってそれが出来なかった時、私は情けない気持ちになります。
そんな土曜日に限って女の子が来たりしたら、、、とても惨めな気持ちになります。
ごめんなさいね、とは言いませんが、心の中でそう言っています。
だから、土曜日には必ずきなこクッキーをお店に並べたいんです。
女の子のためだけではなく、私のためにも。
いつか女の子が大人になって、きなこクッキーを卒業する日がくるかもしれないけど、
その時まで、土曜日には必ずきなこクッキーをお店に並べたいんです。