禅ぱん

自家製酵母でつくるベーグルとおやつ

めん棒の声が聞こえる

もうずいぶんと長いこと、使い続けているめん棒があります。

50歳?60歳?もしかして70歳くらい?

とにかく確実に私より年上。

 

それは母の持ち物でした。

私のクッキー作りの道具はほとんど母が遺したもの。

ヘラも抜き型もボウルもなにもかも、ほぼ遺品。

私は、私よりも年上の道具たちに囲まれて、彼らの胸を借りるようにクッキーを作っているのです。

中でもめん棒さんはかなりご年配。

とても働き者で、長年の経験値の高さからなのか、

生地にくっつき過ぎず、離れ過ぎず、本当に絶妙な良い仕事をしてくれます。

 

このめん棒じゃなきゃ、私クッキー作りません!

そう思っています。

 

ところが先日このめん棒さんに小さな亀裂を発見。

ショック、、、。

 

とても動揺してしまいました。

いつか、めん棒さん真っ二つ、、、。

 

悲劇!

 

困ります。

というか、かなり、悲しい。

母が使い続けためん棒さんが、目の前で亡くなるなんて。

 

先の事を本気で考えなければいけないなと思いました。

でも実は、ずっと前から考えていました。

でも、このめん棒さんと同等もしくはそれ以上のめん棒を探し出す力と、

仮に出会えた新しい方をこのめん棒さんのように育て上げる力が、

私にあるだろうかと思うと、なんだかどうしても探す気になれず、、、

何よりこのめん棒さんが大好き過ぎて、お別れは絶対にいたしません!という、

いわゆる愛着というものを無視できず、

まぁ、要するには見て見ぬ振りをしていたわけです。

 

ダメじゃん!

我が心の声が聞こえてくるようです。

 

道具は大事だよ、いろんな所でよく聞く話です。

私もずっとそう思ってきました。

ですがこの一件をきっかけに、切羽詰まったように、心の底から本気でそう思うようになりました。

 

手に馴染んだ道具だからなのか、

母が遺した道具だからなのか、

他に代えが無いかもしれないという焦りからなのか、

理由はいくらでも見つかりそうだけれど、

 

道具は大事だよ、

めん棒さんの声が聞こえてくるようです、、、。

 

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