カミーノを知っていますか？

キリスト教の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ続く巡礼路です。

世界遺産でもあり、たくさんの巡礼者が1000年以上前から歩き続けてきた素晴らしい道です。

 

１６年前の今日、スペインのカミーノへ出発しました。

それは母が亡くなってからちょうど一年後のこと。

 

あの頃スマホなんてものはなく、分厚い英語で書かれた地図だけが頼りで、なんとも心細かったのを覚えています。

あれもこれもと詰め込んだバックパックは、最強の相棒でありながら、まさに重荷でもありました。

よくまぁ行って帰ってこれたなと我ながら感心しています。笑

 

当時はアジア人がまだとても珍しかった頃で、「お前どこから来たんだ？」と毎日聞かれました。

しかもたった一人で旅をしていて、「お前寂しくないのか？」とも。

寂しいなと感じる日も、今日は大丈夫！と感じる日も、精神状態はいろいろだったけど、

語学力のない私はいつも決まって「 I’m OK! 」。

でもそれも今では良い思い出です。笑

 

約800kmを34日間、自分の足でてくてく歩きました。

ほんとに、てくてく。

毎日毎日、自分のペースでてくてく、てくてく。

不思議なのは、自分のペースでてくてくしているのに、同じ「てくてく」ペースの人が必ずいるという事。

そんな同じてくてくペースの人とは、やはり自然と仲良くなるんです。

自分のペースでありながら、あなたのペースでもあり、

そんなペースで一緒に誰かとてくてくするのは、とてもとても贅沢な時間でした。

 

あの夢のような旅から１６年経った今。

ベーグル屋さんとなった私は、やはり自分のペースで歩んでいます。

そしてあの時と同じで、私と同じペースな人達がやはり必ず周りにいるんです。

それは言い換えれば、今の禅ぱんを応援してくれている人達なわけで、

あの時感じたように、同じペースで歩んでくれる人がいるというまさに今も、とてもとても贅沢な時間なのだと感じています。

 

同じてくてくペースな皆さん、いつもありがとうございます。

たまに走ってみたり、時々止まってみたりしながら、これからもどうぞ宜しくお願いします、ね。

 

１６年経った写真は色褪せてしまいましたが、カミーノは素晴らしい道です。

パコとマノロと2人のホアン。

仲良しおじさん４人組としばらく一緒に歩んだことも素敵な経験でした。